インターフェロンなしの内服療法が平成26年9月から開始されました。治療薬は急速に進歩し、平成29年12月に発売されたマヴィレットは、1日1回3錠内服するだけで、慢性肝炎は8週間、肝硬変は12週間の治療でほぼ100%完治します。副作用はほとんどありません。勿論入院せずに外来で治療できます。特に高齢者でいままでインターフェロンが使えずウィルス排除をあきらめていた方に朗報です。強ミノ注射やウルソ内服からも解放されます。医療費はひと月の薬剤費だけで200万円かかりますが、70歳以上は高額医療制度を用いてひと月に14000円、一般の方は、ウィルス肝炎医療費助成制度を利用すれば、自己負担限度額ひと月あたり10000円か20000円で治療できます。
令和4年1月現在、開院以来608人(年間30人前後)のC型肝炎診療実績があります。ウィルス排除を目的としたのべ治療数は、364症例、その中で270人が完治しています。インターフェロン単独56例(31例55%完治)、インターフェロン+リバビリン併用療法125例(74例59%完治)、インターフェロン+リバビリン+プロテアーゼ阻害剤3剤併用療法28例(23例79%完治)、インターフェロンフリー治療は145例(136例94%完治)です。
・B型肝炎の患者さんへ
B型肝炎キャリアの約90%は、ウィルスがいるだけで肝炎を起こしていない無症候性キャリアです。特に治療の必要はありませんが、肝臓がんの危険があり、半年に一回程度検査(腹部エコーと血液検査)が必要です。
すでに肝炎を発症したB型慢性肝炎またはB型肝硬変は抗ウィルス治療が必要です。B型肝炎もB型肝炎ウィルスの増殖を抑える核酸アナログが開発されて、それまでのインターフェロンと比べ制御が容易になりました。開院以来461人(年間20人から30人)のB型肝炎診療実績があり、令和4年1月現在、50例の患者さんに核酸アナログ投与中です。
・B型肝炎訴訟 (全国B型肝炎訴訟広島訴訟)(厚生労働省「B型肝炎訴訟について」)
平成23年6月に国と原告団の間で和解が成立しました。
(1)B型肝炎ウイルスに持続感染している
(2)幼児期までに予防接種を受けた
(3)母子感染ではない
(4)そのほかの感染原因がない 場合に和解の対象としました。
和解金として以下の金額が支払われます。
●死亡・肝がん・肝硬変(重度) | 3,600万 |
●肝硬変(軽度) | 2,500万 |
●慢性肝炎 | 1,250万 |
●無症候性キャリア | 50万+定期検査費用 |
当院は、対象患者さんに対して積極的に和解手続き(診断書作成)に協力します。
対象の方は院長までご相談ください。
・B、C型肝炎治療費助成 (広島県ホームページ 肝炎治療費助成制度について)
C型肝炎に対するインターフェロンフリー治療やB型肝炎に対する核酸アナログ治療には広島県の肝炎治療費助成制度が受けられます。
世帯の市民税課税年額の合計 | 自己負担限度額 |
235,000円以上 | 2万円 |
23,500円未満 | 1万円 |
・採血結果の郵送
採血後の患者様のうち、C型肝炎で完治し3~6か月に一回受診の患者様、B型肝炎でも無症候性キャリアで3~6か月に一回受診の患者様に限り採血結果を自宅に郵送いたします。